旬の春頃に出回る、皮付きたけのこ。
処理に慣れておらず、失敗する人は少なくありません。
舌がピリピリ・イガイガしても食べられるのでしょうか?
そんなお困りの人へ、たけのこのあく抜き失敗の判断と直し方をまとめました。

旬のたけのこを味わいましょう!
たけのこのあく抜きをする理由
下処理をしていないたけのこは、硬くて食べられません。
それに、うま味成分のチロシンが酸化し、えぐみの「ホモゲンチジン酸」に変化するのです。
ホモゲンチジン酸を早く抜かないと、時間の経過と共にえぐみが強くなります。
えぐみとは、食べると感じる不快な苦い味のこと。
えぐみ成分は他にもあり、たけのこが成長するエネルギーの副産物「シュウ酸」が含まれます。
つまり、たけのこを美味しく安全に食べるためにあく抜きをするのです。
皮付きでも2日以内に下処理をする
掘りたての新鮮なたけのこは、なんと水煮だけでOK。
さらに、ゆで汁に溶けたうま味が料理に使えますよ。
しかしたけのこの収穫後は、えぐみが増す一方です。
そのため、皮付きでも2日以内にあく抜きするのが◎。
あく抜きをしたたけのこを水につければ、冷蔵で3~5日持ちます。

長期保存の場合は、あく抜き後に冷凍しましょう!
たけのこを冷凍する方法
たけのこを冷凍すると、解凍した時に水分が出てスカスカになってしまいます。
美味しさが半減するので、なるべく冷蔵のうちに使い切るのがおすすめ。
シーズンでたくさんいただいた場合は、一部冷凍をご検討ください。
準備するものは、砂糖・大さじスプーン・ラップ・保存袋です。
- たけのこの柔らかい部分と、そうでない部分に分けて切る。
- たけのこ1本に対して、砂糖大さじ1杯を全体にまぶす。
- 部分ごとにラップで包み、保存袋に入れる。
- 冷蔵庫にしまい、約1か月以内に消費する。
甘さが気になる人は、煮物が最適ですよ。
たけのこのあく抜き失敗はどう判断する?
たけのこのあく抜きに失敗したかは、処理方法と食べた時の違和感で分かります。
具体的な内容を見てみましょう。
たけのこが硬い
たけのこと周りの皮は硬く、芯まで火を通すのに時間がかかります。
何層も重なる構造で、時間配分を間違えるとえぐみは取り切れません。
ちなみに、穂先の内側にある柔らかい姫皮(ひめかわ)は食べられる部分。
他はいくら茹でても硬く、美味しくない部分です。
茹で時間が短い
たけのこのサイズによって、あく抜き時間が変わるのも失敗する要因。
旬の皮付きたけのこは、洗ったり皮をむいたりと手間がかかります。
”茹でる”までが大変で、自然と茹で時間を短縮してしまう可能性があるのです。
あく抜き時間が長いため、スケジュールに余裕を持たせる。
茹でた後すぐに流水で処理した
たけのこに火が通り、柔らかくなったらゆで汁を捨てていませんか?
ゆで汁は加熱後も役目がありますので、焦りは禁物。
急にたけのこを冷やすと、あくが抜けにくく、風味も落ちるからです。
掘りたてはすぐ冷やす方が柔らかさを保てますが、それは掘った当日に処理できる場合に限ります。

鮮度を踏まえ、あく抜き方法を変えてくださいね!
舌が痺れる・口の中に違和感がある
あく抜き失敗で分かりやすいのが、食べた時の違和感です。
たけのこに残った「シュウ酸」が唾液と反応し、舌がピリピリ・喉がイガイガする症状を招きます。
シュウ酸の影響はそれだけでなく、以下の問題点を引き起こすかもしれません。
- 消化器官に負担をかけ、腹痛や下痢になる。
- 中枢神経に影響し、めまいや頭痛の原因に。
- ミネラル類と結合して、栄養の吸収を阻害。
旬を味わいたかったのに、不調を起こすリスクがあるんですね。
食べ慣れている味だからこそ、十分注意したいところ。
口に入れて違和感があったら、すぐ食べるのをやめましょう。
たけのこのあく抜きに失敗した時の対処法
あく抜きが不十分だったら、そのまま対処に移ります。
たけのこは時間を置かず、早々に済ませる方が美味しさは損なわれません。
もう一度あく抜きをする
シンプルにあく抜きをやり直します。
時間がない人は、ゆで汁につけたまま保管して翌日チャレンジしましょう。
- たけのこに、深さ1~2㎝の切込みを入れる。
- 鍋に、ぬか・食用重曹・米のとぎ汁のいずれかを加え、水をたっぷり入れる。
- そこに鷹の爪と、たけのこを重ならないように入れたら火をつける。
- たけのこに竹串を指し、中心まですーっと通ったらOK。
- 一晩(約8時間)、ゆで汁にたけのこを浸す。
- 味見をして、違和感がなければ食べやすいサイズに切る。
- たけのこを保存容器に移し、冷蔵庫に入れる。
穂先は柔らかくて美味しいですが、チロシンが豊富なためえぐみも強いです。
落とし蓋を使い、穂先までゆで汁につけてください。
茹で水が蒸発するとかさが減るため、随時水を足す。
ゆで汁の作り方【分量】
ゆで汁の作り方は、それぞれ正しい分量があります。
失敗を防ぐために、きちんと測ってくださいね。
- ぬか:たけのこ1㎏に対して50g。
- 食用重曹:水1Lに対して大さじ1。
- 米のとぎ汁:といだ米汁1~2回目を使い、たけのこが浸る量。
ぬかは、スーパーの野菜または漬物コーナーに「あく抜き用」として置かれることが多いです。
またはお米屋さんかネットで買えます。
ネットだと大容量になりやすいため、ぬか漬けなど使い道がなければスーパーがいいでしょう。
粉末のぬかは風に舞いやすいので、取り扱いは慎重に。
重曹については、スーパーの製菓コーナーを見てみてください。

ホームセンターにある重曹は、掃除用の可能性が高いのでご注意を!
水に溶けにくいですが、熱すると溶けて重曹の効果を発揮します。
鷹の爪を入れるのはなぜ?

収穫後のたけのこは腐りやすく、新鮮なうちに処理するのが重要です。
鷹の爪を入れると防腐作用が増すだけでなく、ぬかのにおいを軽減してくれます。
これは、鷹の爪に含まれる「カプサイシン」という成分のおかげ。
入れなくても問題ない鷹の爪ですが、味わいや保存状態に差が出るという訳です。
種を取るのが大変だったりうっかり食べるかもしれないので、切らずに入れましょう。
あくが抜けやすい柔らかさにする
たけのこは、硬くても柔らかすぎてもNG。
煮すぎると、せっかくのうま味や香りが流れ出てしまいます。
そのため、火加減の調整が大切です。
ポイントは、沸騰後のふつふつした状態をキープすること。
ぬかを使う場合、落とし蓋を併用することで吹きこぼれやすいです。
火加減が安定するまでは、目を離さないようにしましょう。
ゆで汁に浸す時間を増やす
あくが抜けるのは、茹でている間ではなくゆで汁が冷めていく間です。
ゆで汁からすぐに出すと、あくが十分に抜けません。
火を止めたら、お湯が冷めるまで放置してOK。
これを料理用語で「湯止め」と言い、根菜類などの調理で使われる手法になります。
たけのこが浮いてこないよう、落とし蓋をしたままで大丈夫です。
その後は毎日水を取り替えることで、たけのこの保存期間が少し伸びる。
まとめ:舌がピリピリするたけのこでも正しい処理で食べられる
たけのこのあく抜きを失敗しても、再チャレンジできます。
子供やお年寄りも食べるので、硬さや試食などのチェックは欠かさず行いましょう。
食べた時にピリピリ・イガイガしたら、もう一度あく抜きしてみてくださいね。