自分では気が付きませんが、寝ているときに噛み締めをする人がほとんどです。
「歯が痛いと思ったら、虫歯ではなく噛み締めが原因だった」なんてケースも。
度合いの差異はあるものの、怖いのが、口の中の違和感・首や肩の凝り・病気にまで発展する可能性があること。
今は変化がなくても、早いうちから対処して悪化を防ぎましょう!
今回は噛み締めについて、原因や対処法、マウスピースのメリット・デメリットなどをご紹介します。
この記事で分かること
・放っておいたらどうなるの?
・マウスピースのメリット&デメリット
噛み締めをしている?チェック方法
口の中だけでなく、他の部位まで影響を及ぼす噛み締め。
知らないうちにやっていることが多いため、すぐに判断するのは難しいとされています。
まずは、今すぐできるセルフチェックで、該当しているか見てみましょう。
- 歯が欠けている、削れている
- 歯がぐらつく
- 頬側の口腔内に、歯並びに沿った線がある
- 舌の周りが凸凹している
- 歯の根元が、くさび状に欠損(※)している
- 頬、上顎、下顎の歯茎に骨隆起(コブ状の出っ張り)がある
- 肩こりや頭痛に悩まされている
- 歯全体に、ジンジンとした痛み(または違和感)がある
1つでも当てはまる場合は、噛み締めをしている可能性が高いです。
どの項目も、強い力がかかったことによる口腔内の変化になります。
特に1~5は、噛み締めをしているかの判断材料として、歯医者さんも使っています。
※くさび状欠損とは、歯の根元がえぐれたようになっていること。
ブラックスチェッカーなら一目瞭然
無意識、または就寝中の噛み締めを調べることができるのが、「ブラックスチェッカー」。
赤い色が付いたマウスピースです。
使い方は、寝る前に歯にはめるだけでOK(最初に歯型を取ってもらいます)。
噛み締めをしている部分の赤色が削れるので、目でハッキリと確認できます。
数日行ってみて、広い範囲が削れていれば、噛み締めの癖がついているでしょう。
ただ、ブラックスチェッカーは保険適応外のため、自費診療になります。
予算に合わせてご利用ください。
【就寝中】噛み締めの原因・影響
噛み締めは、歯をすり合わせて音を鳴らす「歯ぎしり」とは違い、力が集中するため大きな負荷がかかります。
寝ている時の噛み締めの力は、なんと体重の2倍とも言われており、これが毎日となれば体に悪い影響が出るのもうなずけますね。
体を休めるために眠るのに、噛み締めをしてしまうのはなぜでしょうか?
そもそもの原因や、悪影響について確認してみましょう。
噛み締めの原因とは?
噛み締めの原因である、ストレス・かみ合わせ・逆流性食道炎の3つに着目します。
あなたは、思い当たるものがありますか?
ストレス(緊張)
ストレスから起きる噛み締めは、「クレンチング症候群」と言われています。
人はストレスを感じると、交感神経が活発になって筋肉が硬直します。
すると、口周辺の筋肉も緊張するため、無意識に歯を食いしばってしまうのです。
また、ストレス解消の手段として行う人もいます。
脳がストレスを感じたとき、噛み締めることで不安や緊張を和らげようとするからです。
ただ、脳側はストレスを発散できたとしても、歯や口周辺への負担は大きいです。
「睡眠時間は十分なのに、疲れが取れた気がしない…」と感じるときは、日中のストレスを睡眠中に解消しようと、噛み締めている可能性があります。
かみ合わせ
かみ合わせとは、「上の歯と下の歯がバランスよく支え合っているか」のことです。
例えば、上の歯の山部分。これが下の歯の溝に、ピッタリくっつけば◎。
かみ合わせが良いと、食事中ストレスなく咀嚼(そしゃく)でき、アゴの筋肉が緊張しづらくなります。
逆にかみ合わせが悪いと、噛むたびに疲れやストレスが蓄積し、寝ている時に噛み締めやすくなってしまうのです。
ついキレイな歯並びをイメージしてしまいますが、他にも見なければいけない所があるんですね
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、胃酸(胃の内容物も含む)が逆流して、食道に炎症を起こす病気です。
食道と胃の境目には「下部食道括約筋」というものが存在しており、胃酸が食道へ行かないようギュッと引き締めてくれています。
でも、それが緩んで逆流が起こると、
- 胃酸が口の中を「酸性」にする
- それを中和しようと唾液腺の分泌を促す反応が起こる
- 噛み締め
となるのです。
逆流性食道炎になりやすい人は、以下の通りです。
- 満腹になるまで食べる
- 早食い
- 肥満
- お腹を締め付ける衣類の着用
- 加齢
- 高脂肪食や炭酸飲料を多く摂る
- タバコやお酒を好む
たくさん食べると、胃内圧が上がって、下部食道括約筋が緩みやすくなります。高脂肪食・炭酸飲料・タバコ・お酒も同じです。
タイトな服や肥満に関しては、腹圧を上昇させ、胃を圧迫することに。猫背や前かがみの悪い姿勢の人も腹圧が上がるので気を付けましょう。
それに、食べた後すぐに横になるのもいけません。
食後は胃酸が多く分泌されているときなので、逆流がおこりやすくなります。
治療した歯の違和感
歯を治療するときの選択肢は、いろいろあります。
歯を削って詰め物をするか、歯の神経を抜いて詰め物をするか、抜歯してインプラントにしたり…。
(治療でなくても歯をキレイにみせるため、あえてインプラントに入れ替える人もいます。)
そんな歯のトラブルとして、治療後の違和感が挙げられます。
なんとなく変な感じがするからと、ストレスで噛み締めてしまうクセが付きやすくなるんです。
しかも、噛み締めが続くとブリッジが変形することもあり、放置すると虫歯・歯周病に繋がります。
クリーニングだけならともかく、治療や歯自体のことで相談したいなら、口コミを参考にしたり実際に通ってみたりして、信頼できる歯医者を見つけることが大切です。
症状を放置するとどうなる?
噛み締めの負荷により、歯を失うリスクは上昇するでしょう。
さらに歯だけでなく、歯肉や組織にまで範囲が広がって、歯周病や知覚過敏を招きます。
また、めまいや耳鳴りなどの症状に発展する恐れも。
そして、アゴにもダメージがかかるので顎関節症(がくかんせつしょう)に繋がります。
顎関節症になると、口を開け閉めするときに「カコッ」や「ミシミシ」と音が鳴るのです。
音が鳴るだけなら治療は不要とされていますが、痛みを伴ったり口が開けづらくなったりすると治療しなければなりません。
やはり、早期発見・早期治療は重要ですね…!
噛み締めにはマウスピースがおすすめ【メリットとデメリット】
別名「ナイトガード」と呼ばれているのが、夜用のマウスピースです。
歯列矯正やスポーツ用でよく使われるマウスピースですが、実は噛み締めにも効果的なんですよ。
ここでは、そのメリットとデメリットをご紹介します。
【メリット】ダメージを軽減できる
マウスピースをはめることで、歯と歯が直接触れなくなるので、ダメージを減らすことができます。
薄いマウスピースでも、あると力がかかりにくくなり、アゴや筋肉の緊張を和らげるのに◎。
そのため、噛み締めの他に歯ぎしりをする人でも、歯のすり減り予防に効果的です。
まだまだメリットはあり、以下のものがあります。
- 虫歯治療のかぶせ物・セラミックの破損を防ぐ
- 歯の位置がずれないようにする
- アゴにかかる負担を和らげる
- どのくらい歯に負担がかかっているか、チェックできる
- 病気に進行したときと比べれば、コストは抑えられる
マウスピースが出来上がったら、試しにはめてみて、かみ合わせに違和感がないか確認します。
その部分を歯医者さんに伝えれば、削って調整してくれますよ!
マウスピースの効果は、使い始めてから1週間くらいで実感しますので、続けることがポイントです。
【デメリット】管理やコストがネック
中には、マウスピースに違和感を抱いて、寝ているときに外してしまう人もいます。
何日か試しても外してしまうなら、鼻呼吸テープはいかがでしょうか。
目的は口呼吸の予防ですが、勝手に口が開かなくなるメリットがあるため、一度お試しください。
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また、マウスピースの作成費用として約5,000円かかるため、一般的な治療よりちょっとお高めです。
ですが、メンテナンス&破損した時の修理をしてもらえるため、安心して使い続けることができますよ。
衛生的な管理については、少し面倒だと思う方もいらっしゃいますが、洗浄剤を購入すれば問題ありません。
- マウスピースが入る容器に水を入れる
- 洗浄剤を混ぜて、よく溶かす
- マウスピースをつけ置きしたら完了
以下のリテーナーシャインは顆粒が溶けやすく、水色の液体が透明になったら洗浄終了と分かりやすくて使いやすいです。
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つけ置きが終わったら、マウスピースを歯ブラシでブラッシングしてください。
力を入れ過ぎると割れてしまうので、優しく行います。
マウスピースの耐久力は人による
個人差があるのが、マウスピースの耐久力(いつまで使えるか)です。
早い人は半年で壊れ…長い人は3~4年使えます。
微調整として、マウスピースの厚さが変えられるので、すぐに壊れてしまう方は厚めにできるか相談してみましょう。
ちなみに、マウスピースは対処療法の部類なので、噛み締めや歯ぎしりがなくなる訳ではありません。
根本的な解決には、別のアプローチが必要です。
市販のマウスピースを使う手もアリ
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自分に合うか心配な方・低コストで抑えたい方は、市販のマウスピースも販売されています。
歯医者で作るよりも安く済むので、試しやすいです。
使い慣れてきたら、歯医者で完成度の高いマウスピースを作成するのも良いですね♪
噛み締めを治す方法
噛み締めを治すには、いくつかの方法を組み合わせて進めていきます。
いきなりたくさんやるのは大変なので、少しずつ始めてくださいね。
- 起きている時、口元に力を入れないよう意識する
- 寝る前のストレッチで緊張をほぐす
- リラックスする音楽やアロマを用いる
- 歯医者で、かみ合わせをチェックしてもらう
- 頬ずえをやめる
- 枕を低くする
- 運動や趣味を取り入れ、ストレスを解消する
ストレスや緊張を溜めないよう、体を動かすことと、リラックス効果のある環境を整えましょう。
高い枕を使っている人は、噛み締めしやすくなります。
できれば、低い枕に変えるのがおすすめです。
そして、普段している癖を見直すことで、寝ている時のこわばりが和らぎ、マウスピースと併用すれば負担は軽減されますよ。
▼高めの枕がおすすめな人はこちら
夜間のマウスピース(ナイトガード)のまとめ
「噛み締め」は、ただの癖ではなく、病気・体調不良を招く悪習慣です。
仕事や人間関係でストレスを抱えやすい、日本人ならではの悩みとも言えます。
マウスピースにはデメリットもありますが、健康のことを考えたらメリットの効果はとても大きいもの。
心と体のリフレッシュと一緒に、生活に取り入れてみてくださいね♪