それぞれの職種に特徴があるように、客室清掃ならではのミスがあります。
これはベテランの方でも起こることなので、長年勤めていても安心できません。
今回は客室清掃で起こるミスについて、原因や解決策をご紹介します。
インシデントは、小さなミスから発生します!
この記事がおすすめの人
・仕事中のうっかりミスが多い。
・ありがちなミスと対策を知りたい。
客室清掃の不備はインシデントを招く
インシデント(incident)とは、”悪い出来事”という意味。
ビジネスシーンで使われる場合、重大な事件や事故が起こるリスクがあるときに使われます。
客室清掃員は、プライベートな空間に出入りできるからこそ起きた事故もあるのです。
つまり、お客様と直接会わずとも、信用度・満足度に大きく関わっています。
重大な事故を防ぐために、わずかなミスから対策を練りましょう。
客室清掃のミスってどんなこと?
インシデントを招く小さなミスとは、具体的にどんなものでしょうか。
ここでは、客室清掃での事例を挙げていきます。
清掃が不十分
汚れが残っていると、次のお客様の印象が悪くなります。
客室数のノルマに追われ、清掃がおろそかになって起こるミスです。
お客様から「別の部屋にしたい」と言われると、1つの部屋の売り上げが減り、ホテルの稼働率も下がってしまいます。
もし満室だったら、ルームチェンジすらできません!
客室清掃員として、これは防ぎたいミスです。
水回りが濡れているのもNG
水回りは、主に以下の場所を指します。
- 冷蔵庫。
- 電気ポット。
- ユニットバス。
- 加湿空気清浄機。
わずかな水滴が残っていたり、水がタンクに入ったままだったり、見落としがちなミスです。
また、飲み物の跡や窓の結露もチェックポイントになります。
清掃の後半に気が付いたとしても、乾かすのに時間がかかるため、他の作業より大変ですね。
印象が悪くなるので、ホテルの稼働率に関わってきます。
怪我を負う可能性
客室清掃員は限られた時間の中、管理する道具がたくさんあります。
備え付けの道具、交換するリネンやアメニティ類、それ以外に掃除用具も持ち運びます。
物が増えるということは、リスクも増えるということ。
床が荷物で埋まっていると、移動しにくいので足をくじくことも。
たまに速足で移動することがあり、不注意で怪我をするものもあります。
補充・清掃のし忘れ
これは、作業ごと忘れてしまうケースです。
「新規」と「連泊」では、清掃方法が異なるのも間違えやすい要因に。
アメニティのような消耗品なら簡単ですが、1部屋まるごと清掃が止まっていたミスもあります。
客室清掃はほぼマニュアル通りで、”やったつもり”になるのが原因でしょう。
インスペで見つかると、お客様を待たせてしまうかもしれません‥!
そして、インシデントに近いケースとしては、ドアの閉め忘れが挙げられます。
連泊はお客様の荷物があり、私物を盗難される可能性大です。
お客様の持ち物を処分した
まず基本ルールとして、連泊者の私物になるべく触れない・忘れ物は回収して保管すると決まっています。
ただ、空のペットボトルや段ボール箱などは判断しづらいのです。
床にポンと置かれた、ポリ袋・新聞もそうですね。
ゴミと判断して捨てたら、「後で使うのに…」とクレームが入る事例がありました。
その一方で、未開封の食品・飲料、私物類をわざと置いてチェックアウトする人もいます。
様々な忘れ物を目にしてきて、「これは処分してもいいの?」と悩んでしまうんですね。
お客様が居るのにドアを開けた
清掃時間になっても、お客様がチェックアウトしていなければ入室できません。
フロントからの連絡を待ち、指示を受け、そこから作業にとりかかります。
しかし、客室清掃員の指示書をよく確認せず、専用のルームキーでドアを開けてしまう事例が起きています。
もしくはフロント側のミスで、”チェックアウト済み”と書かれることがあります。
ミスの原因がどちらにしても、立ち入ることは禁物です。
お客様の荷物をぬらした・汚した
ユニットバスに置かれた私物に、シャワーをかけてしまった事例です。
水回りは何かと物が増えますので、より注意が必要になります。
- ぬいぐるみ。
- 干している洗濯物。
- メイク道具とポーチ。
ユニットバスは「乾燥させる場所」でも使われるため、ぬらせないものを置く可能性は十分あります。
他は、机の上のコップに入った飲み物・汁が残ったカップラーメンも危険因子。
倒れると汚すことと、お客様の私物をダメにすることの、二重のNGが当てはまります。
お客様の荷物を別部屋に移し間違えた
連泊のお客様の荷物は触らないルールなのに、どうしてこのようなミスが起きるのでしょうか。
理由としては、リネン類に混ざっていることが多いです。
ベッドに私物を置く人は少なくありません。
小物だったりベッドの色と同系色だったりしたら、気が付きにくいのです。
いつもの流れで回収し、後で発見してもどこの部屋かハッキリしないという訳…。
勘に頼り、適当に戻すのは絶対にやめてください。
お客様を困らせるだけでなく、貴重品やデリケートなものだと不安や恐怖感を抱かせてしまいます。
客室清掃のミスを防ぐには?
客室清掃のミスが続くと、ホテルの評価が下がってしまいます。
ミスを繰り返さないために、相応の対策を取り入れましょう。
清掃は”丁寧さ”を優先
客室清掃は、前のお客様の痕跡を無くし、かつキレイに整えるお仕事。
指示書には、清掃終了の目標時間が書かれていますが、早さより”丁寧さ”を重視してください。
汚れ落ちが悪い所はガンコ汚れ用の洗剤を使い、それでもダメなら交換を!
破損や劣化で、対応できない部分はフロントに連絡すれば問題ありません。
人手や稼働率によってはノルマが多いため、キレイに見えるポイントを押さえるのがコツです。
▼客室清掃のキレイな仕上げはこちらから。
残念ながら、早さと人件費削減を重視する会社・社員も少なからずおり、職場に左右されることがあります。
相性が合えばやりがいはあるので、無理しないでくださいね。
在室前提でノックする
客室に入る前は、必ずノックをしてから入ります。
何かの手違いで、在室していた時に備えるためです。
「急にドアを開けられた」という事例があり、お客様にご迷惑がかかります。
それと、ルームキー持ったままのお客様の中に、フロントを通さずお戻りになる人も。
清掃途中でもお客様は入れるため、ドアを開ける度にノックしましょう。
スマートロックで在室管理
スマートロックとは、部屋の鍵を”電気通信で管理する”システムを言います。
新築以外でも、改築などでスマートロックを採用するホテルが増えています。
このメリットは、在室中は開錠できないこと。
ルームキーをかざしても、ランプが赤色になり開けられません!
ただ、ルームキーが所定の位置に刺さっていないとドアは開きます。
お客様がレストランや大浴場にいて一時的に不在だったり、日光のみでお過ごしになっていたり…。
その時にパソコンで在室確認をすると、「部屋にいない」と扱われてしまいます。
ルームキーが刺さっていないと電化製品が使えない。それを在室確認に利用している。
水回りは最初に取り掛かる
水回りは、自然乾燥させてから拭き上げるやり方が一番楽です。
なるべく早いうちに取り掛かれば、後半にはほとんど乾いています。
▼水回りの清掃はこちら。
冷蔵庫はドアを開けたままにして、乾いたウエスを入れておくと乾くスピードが上がりますよ。
最後、ウエスを取り忘れないようご注意ください。
電気ポットは、蓋を外したら食器用ウエスで拭き上げ、窓辺の日光で乾かすのがおすすめ。
空気清浄機の加湿パーツは、壁際にウエスを敷き、立てかける形で干すのが◎。
加湿フィルターは水を吸っているので、ウエスで軽く抑えておきましょう。
危険因子は清掃前にチェック
焦ったり急いだりすとミスを招くため、冷静に動くことを意識しましょう。
落ち着きがないと、周りが見えにくく疲れやすくなります。
ミスを振り返るのもそうですが、ベテランの方に聞くといろいろ教えてくれます。
アドバイスを参考にして、何度も仕事をこなすうちに、自分に合うルーティンが見えてきますよ。
体が勝手に動くようになるので、冷静さを保ちやすいです!
ちなみに、飲みかけや食べかけには、ホコリがかからない場所に移すorティッシュで蓋をすると◎。
確認を怠らない
全ての清掃作業が終わったら、自分でインスペをしましょう。
補充や清掃のし忘れは確実に減り、ミスを発見しても早急に対処できます。
また、連泊のドアが開けたままにならないよう、入室する度に開け閉めするクセを付けるといいですね。
ルームキーで開ける手間はかかりますが、インシデントを防げます。
作業中に気が付いたことは後回しにせず、”今”やることが大切です。
新規・連泊・エコなどに印を付ける
配布された指示書を見て、分かりづらい所は少しだけ書き足すのもアリです。
書きすぎるとフロントが確認しづらくなるため、自分が分かるくらいの印にすると◎。
私の場合は、部屋番号に印を付けるようにしています。
- 新規と連泊:何も書かない。
- 清掃が終わった部屋:○で囲む。
- エコ清掃:黄色のマーカーを引く。
- アウトしていない部屋:マスキングテープで隠す。
- 担当フロアが2つ:階ごとの部屋数を数え、横に記入。
マスキングテープにしたのは、お客様がチェックアウトしたら印を消せるためです。
連泊部屋でも、荷物が無くキレイに使っている方がいらっしゃるため、新規と間違えないよう確認。
このような印を付けつつ、どんな流れで清掃を進めるか考える…という感じです。
清掃が完了した部屋に○を付ければ、清掃し忘れを防げます。
荷物の持ち出しに気が付いたらフロントに連絡
お客様の荷物をリネン類に巻き込んだり、忙しさに気を取られて無意識に回収したりした時は、フロントに連絡を。
こうすることで、荷物の置き間違えを避けられます。
フロントを介し、チェックインのタイミングでお客様に確認してもらいましょう。
まとめ:ミスに対する予防策はしっかりと!
客室清掃員が起こしがちなミスは、対策をとれば防げます。
誰でもミスすることはありますが、1人1人が意識を持つことでリスクを減らせるんです。
ホテルごとにマニュアルがあるので、そこに合うやり方が最も適しています!
起きたミスは放置せず、自分なりの対処法を見つけてみてくださいね。