出張や旅行で利用されるビジネスホテル。
裏方ゆえ、あまり作業内容が知られていないのが客室清掃員です。
「客室清掃の求人があったけど、どんな作業なの?」
「キツイって本当?」
「どんな人が向いているの?」
なかなか聞きづらい、こんな声にお応えします!
今回はビジネスホテルの客室清掃員について、仕事内容と共に、メリット・デメリットをご紹介します。
この記事で分かること
・客室清掃はどんな仕事か。
・勤めて知れたメリットとデメリット。
客室清掃員とは?
客室清掃員とは、お客様がチェックアウト後に部屋を清掃する人のことです。
ハウスキーパーとも呼ばれています。
キレイな状態にし、お客様がリラックスできるようにする大切なポジションです。
ビジネスホテルは、主に出張者向け。
客室で使えるWi-Fi、作業や身だしなみを確認する大きなデスク、一息つくお茶類が完備。
シンプルなサービスのため、シティホテルやリゾートホテルよりコストが抑えられている特徴があります。
割り振られた部屋を、1人で清掃するのがほとんどでしょう。
客室清掃員の仕事内容
では、客室清掃員の仕事内容を見てみましょう。
アメニティやタオル類の補充
歯ブラシや綿棒など、アメニティの不足があれば補充します。
ホコリを掃ったり位置を整頓させたり、キレイに整えると見た目が良いです!
シャンプーやリンス、お茶や紅茶も、残量に合わせて補充します。
タオル類・シーツ・パジャマなど、リネン類も回収。
それらは、種類ごとに大袋へ分けておきます。
ベッドメイキング
慣れるまで一番時間がかかるのが、ベッドメイキング。
ホテルごとに敷き方のルールがありますので、それに従って整えていきます。
大きいシーツや重たいマットレスを扱うため、膝や腰に負担が集中しないように、膝を立てて作業する場合も。
しかも、部屋が狭かったり荷物が多い部屋だと、スペースが少なくてベッドを何度も動かさなくてはなりません。
敷き方のコツ・細かなポイントをメモすると安心です。
浴室やトイレ清掃
水回りは洗剤・水で流しやすい反面、水滴が残らないようにしなくてはなりません。
窓はありませんが、換気扇を「強」にすれば早く乾きます。
最初にユニットバスを清掃して軽く拭き上げ、それから別の仕事をしている間に乾かすという感じです。
最後に、水滴がないか確認しながら拭き上げると時短に。
髪の毛も残っていないかチェックしましょう!
そして、トイレットペーパーホルダーや鏡といった、くすみやすいものはウエスで磨きます。
ツヤがでるので、部屋がキレイに見えますよ。
▼水回り清掃のコツはこちら。
備品の位置を元に戻す
宿泊中はプライベート空間です。
そのため、お客様が使いやすい場所に備品を移動してあることがあります。
必要なら洗剤で洗ったり専用のウエスで拭いたりして、元の場所に戻します。
全く違う場所に置く人やクローゼットの奥にしまうなど、見つけにくい場合も。
そのときは、まず備品を探すところから始まります。
ゴミ捨て
どの部屋にも、ゴミ箱が設置されています。
基本的に、ゴミ箱に入っているもの以外は捨てません。
空のペットボトルでも、お客様にとって使い道があるかもしれないからです。
▼客室清掃員で起こりやすいミスはこちら。
過去に、机に置いてあった空の容器を破棄したところ、「捨てないで」とクレームが入ったことも。
”捨ててください”と、メモを残してくれるお客様はありがたいです!
それに、分別も注意です。
ビン・カンが別のゴミと一緒に捨てられていたら、きちんと分別します。
破損や不良のチェック
部屋に入る機会が多いため、異変があるかもチェックします。
主に、劣化による破損や不具合です。
- 蛇口の水漏れ。
- 電化製品の不具合。
- クローゼットの破損。
- カーペットの剥がれ。
- シャワーホースの切れ目。
自分で対処できない部分は、フロントに申し送ります。
すぐに報告しないと、お客様にご迷惑がかかるのでご注意を。
掃除機をかける
ホテルは絨毯が敷かれているため、掃除機は必須です。
部屋以外に、部屋の前の廊下もキレイに。
どのエリアも、毎日掃除機をかけて清潔にしています!
掃除機をエレベーターで持ち歩く時は、必ずコードをしまってくださいね。
コードがドアに挟まる可能性があり、ホテルによってはエレベーターでの持ち運びを禁止されています。
ドアノブやベッドなどの消毒
感染対策や衛生面を踏まえ、各場所の消毒も行います。
たくさんの人が入れ替わる所だからこそ、この作業は忘れてはいけません。
消毒液のおかげで、汚れが落としやすくなります。
気を付けるとすれば、消毒液に弱い材質には使いすぎないこと。
例を挙げると、合皮のイスですね。
直接噴霧するのではなく、ウエスにかけてから拭き、面を変えた乾拭きで完了です。
消毒液をかけすぎると、白いシミになったり劣化を早めたりする。
大浴場の清掃
ユニットバスの他に、大浴場があるビジネスホテルがあります。
客室とは離れていますが、客室清掃員がローテーションで担当。
おおまかに分類すると、浴室と脱衣所です。
- 脱衣所:アメニティ補充、掃除機がけと乾拭き、洗面台の清掃など。
- 浴室:シャンプーやリンスの補充・ゴミ回収・イスや桶など全体を洗うなど。
たまにカビ取り剤をまいて、ガンコな汚れを含めしっかり落とします。
リラックスルームが併設されている場合は、そこもキレイに。
清掃内容の違い
朝礼の時間になると、担当者から清掃指示書が配られます。
そこには、部屋番号と清掃内容が書いてあるので、その通りに動きます。
ホテルごとに呼び名は違えど、以下のような分類です。
新規
お客様の利用が終了し、部屋を初期状態に戻します。
ベッドメイキング・備品の位置・電化製品のオフなど、作業が一番多くなりますね。
連泊
お客様の所有物が置かれたままになっており、触れてはいけません。
エアコンや電気ポットなどの、電化製品もそのままです。
使用した形跡は、手を付けずそっとしておきましょう!
それ以外の、タオル・パジャマの交換、アメニティの補充、ベッドメイキングを行います。
ただ、お客様の荷物が多かったり部屋自体が狭かったりすると、ベッドメイキングのスペースがないことも…。
物を動かすしかない状況になったら、ベッドメイキング後に元の場所へ。
エコ
ゴミ回収・アメニティ補充・タオル交換などの、簡易清掃です。
ベッドメイキング・ユニットバス清掃・掃除機かけなどはしません。
数分でエコ部屋は終わります。
外アメ
「起こさないでください」という意味の、DD(ドンディス)カードがある時に用意します。
部屋のドアノブに、タオルや予備のゴミ袋などを入れた袋をかければOK。
使用済みのタオルを、ドア前に出してくださるお客様もいますね。
また、不規則な時間にゴミだけドア前に置く人もいます。
清掃の終盤でゴミを見かけたら、速やかに回収していいでしょう。
客室清掃員のメリットとやりがいとは?
客室清掃員の仕事内容がお分かりいただけたところで、今度はメリットとやりがいをご紹介します。
キレイになるのが気持ちいい
掃除のメリットともいえる、終えた後の達成感が味わえます。
自分の部屋でも、物を整頓したりゴミを片付けたりするとスッキリしますよね。
理由は、体を動かすと幸せホルモンの「セロトニン」が分泌されるため。
掃除は、心の安定にも繋がってくるのです。
それに、結果がハッキリ目に見えるので、頑張った証として嬉しくなりますよね。
ルーティーンが決まっている
最初は大変ですが、同じ作業の繰り返しなのでだんだん身についてきます。
臨機応変さはあまり関係なく、仕事をキチンとこなすことが重視されやすいです。
清掃が終わったら、別の客室清掃員がインスペを行います。
そのときに指摘されることがあれば、今後間違えないよう気を付ければOK。
繰り返す間違いは苦手分野なので、そこを知ることが大切です!
黙々と作業ができる
仕事の大半が単独なため、人付き合いが苦手・自己流で仕事をしたい人に向いています。
人間関係で悩まされることが、かなり減ります。
誰かと同じフロアになったとしても、すれ違うときに少し声をかける程度。
あとは仕事に集中するので大丈夫ですよ。
運動不足の解消
しゃがむ・立ち上がる・早歩きなど、よく体を動かすので運動になります。
客室清掃員になるとほとんどの人が痩せると言われ、エクササイズ効果も期待大です。
スタートはノルマが少なく、少しずつ体を慣らしていけば◎。
運動不足の人は体を痛めやすいため、ストレッチを取り入れましょう。
子供がいても働きやすい
女性が占める職場なので、育児に理解のある人が多いです。
子供の体調不良や、行事の変更などがあっても相談しやすいメリットがあります。
また、就業時間も働きやすさに関係しています。
平均のチェックイン時間が15時で、チェックアウトは9時半くらいでしょう。
つまり、子供が園や学校に行っている時間と重なります。
1人になれる時間帯に働けるのです。
客室清掃員のデメリットは?
次に、客室清掃員のデメリットを見てみましょう。
- 体力がいる。
- 時給が安め。
- 丁寧さが求められる。
- ある程度の早さが必要。
- 人間関係が複雑な職場も。
- 腰や膝に負担がかかりやすい。
- ネイルやヘアカラーなどの制限。
体力がないと、帰宅後の家事がままならなくなることも。
膝や腰に持病のある人は、悪化する可能性があります。
また、チェックイン時間が迫ってくるので、早さも求められます。
丁寧さが前提として、ノルマが少ないうちに感覚を掴んでみてください。
収入が不安定・予定を組みづらい
就業時間は、稼働率や人手に左右されます。
ビジネスホテルの稼働は、1月が閑散期で4月から徐々に上昇、夏と秋にピークを迎えるのです。
稼働部屋が少なければ、ノルマは減るので早い退勤になります。
日曜日は稼働が落ちるので、翌日の月曜日はノルマが少ない傾向。
逆に人手不足なら、担当部屋は増えて退勤が遅めに。
早いと13時前には仕事が終わるため、閑散期は少しだけ収入が下がります。
退勤時間もバラバラになりやすく、仕事後の予定が入れづらいです。
稼働率が分かる資料を掲示してもらえば、予定が立てやすくなりますよ!
このようなデメリットが重なり、退職を選ぶ人もいますね。
▼客室清掃員を辞める理由はこちら。
まとめ:客室清掃の仕事は少しずつ覚えていこう
客室清掃員は、リラックス空間を提供する大切な役目があります。
どんな仕事か分からず不安だった人も、イメージがまとまってきましたね。
生活環境や価値観に合いそうだったら、客室清掃員の求人を探してみてください。