「怒り」は、自分や大切な人を守るために必要な感情で、それ自体は悪い物ではありません。
しかしスイッチが入ると、大切だったはずの対象を傷つけてしまう。
そんな大人の癇癪(かんしゃく)は、決して少なくありません。
やってはいけないことだと分かっているのに、急にイライラが押し寄せてきて、どうしたらいいか分からない方もいらっしゃるでしょう。
まずは、「なぜそのようなことが引き起こされるの?」を知ることから。
やみくもに結果だけを試しても、自分に合った解決策でなければ効果は薄いです。
今回は、カッとなってしまう原因と治す対処法をご紹介します。
この記事を読んでわかること
・子供に強く当たってしまう。
・カッとなる性格を治したい。
キッカケは主人が叱ってくれたこと
私自身、昔は大きい声を出してしまうことがありました。
相手は長女です。家に2人きりの時間が長かったことが、拍車をかけたのかもしれません。
言った後に後悔して「次は気を付けよう…」と思うものの、またやってしまう。
ある日、主人が家にいるとき、また怒鳴ってしまいました。
すると、主人が飛んできて「その言葉遣いをなんとかしろ!」と注意され、長女を私から離してくれました。
(助けられたように書いていますが、主人は主人で、自室にこもっていたんですよね…汗)
”悪いことをした”という自覚はあるので、私は何も言い返せません。
実は、反省していたつもりになっていて、”相手は子供だから”と甘えていた自分に気が付きました。
そして、やっと変わる決意をするのです。
カッとなってしまう原因
治すためのポイントはここです。
原因が分からないと、それに合った対処法も分かりません。
カッとなる理由は人によって違うので、自分のパターンをしっかり分かっておきましょう。
すぐ思い出すのは辛いかもしれませんので、精神が安定している時に思い返してみてください。
普段言いたいことがあっても我慢している
「自分だけが我慢すれば良い」と思っていませんか?
確かにその場は解決したような雰囲気になるかもしれませんが、ストレスはどんどん蓄積していきます。
たまに、趣味や運動などのストレス解消をしても、根本の解決ができていないので悩みのタネは消えません。
我慢に我慢を重ね、それが限界に達すると些細なことで爆発します。
睡眠不足
睡眠不足は、様々な悪影響を及ぼすしますね。
若いうちは回復は早いですが、年齢を重ねるほど疲れは取れにくくなります。
夜更かしを続けると、その翌日だけでなく、何日か疲れを引きずってしまう場合も。
十分な休息がないと気分の変動が起こりやすくなり、正常な判断がしづらくなるのです。
同じ毎日の繰り返しで疲れている
同じ毎日で、メリハリがないと感じて疲れていませんか?
育児に限られたことではなく、仕事や介護なども心境が不安定になりやすいです。
自分の好きなことに費やす時間が無く、夜は疲れて寝てしまう…。
「自分は何やっているんだろう?」と、余裕がなくなってくる人も少なくないでしょう。
自分だけ大変だと感じている
誰が頑張っているとか、そうでないとか、元々比べるものではありません。
でも、気持ちに余裕がなくなってきて、ネガティブ思考に。
自分ばっかり…と考え始め、ストレスが増加します。
すると、「私はこんなに頑張っているのに!」と怒りに移行しやすくなるのです。
自己肯定感が低い
真面目な人ほど、ルールやマニュアルを守るという意識が強いです。
気を抜く場所を作らず全力でやるので、他の人よりストレスを溜めやすい傾向にあります。
また、失敗を許せなかったり根に持ったりと、劣等感を抱きやすいタイプ。
ストレスのはけ口として、”自分より立場が弱い相手”にマウントをとる人もいます。
病気や発達障害が原因
正確には医師の判断が必要ですが、自分でチェックできる一部の判断材料は以下の通りです。
精神が落ち込む時と、活発な時が順番に起こる | 双極性障害 |
月経などの女性ホルモンの影響を受け、別人のように怒りっぽくなる | PMS、PMDD |
人間関係がうまく築けない、集中力が無い、ケアレスミスが多いなど | ADHD |
精神が落ち込む時を「うつ状態」、活発になる時を「躁(そう)状態」と言い、それが順番に起こるのが双極性障害です。
どちらかというと10代~30代と若い人に多く、原因は遺伝性と考えられています。
女性の場合は、月経前症候群(PMS)というものがあり、イライラしやすい・落ち込みやすい・怒りっぽいなどの症状が現れます。
さらに、その症状が重い型を、月経前不快気分障害(PMDD)と呼びます。
月経の周期に合わせて異変を感じる方は、PMDDの簡易チェックシートがありますので、やってみてくださいね。
そして、ADHDとは「注意欠如・多動症(注意欠如・多動性障害)」のことです。
脳の機能に関する障害で、ぼーっとすることが多い・じっとしていられない・思ったら即行動する、という特徴があります。
ADHDは、想定外の出来事やアドリブに弱いため、パニックになったりストレスを感じやすかったりします。
カッとなるデメリット
ここでのポイントは、怒りをコントロールできなくなるということです。
怒りを制御できないと、状況が悪化したときに歯止めが効かなくなります。
最悪の場合、虐待・DV・精神病の原因となる可能性も。
一方、他者にストレスを向けるのではなく、自分を傷つけてしまうパターンがあります。
日常生活や仕事に支障が出るほどなら、なるべく早く病院へ受診することをおすすめします。
受診するのは何科?
双極性障害やADHDは、精神科または心療内科です。
しかし、その病院の先生全員がADHDに精通しているわけではないので、病院選びが大切になります。
ホームページを確認したり、電話で問い合わせたりして、ADHDに詳しい医師がいるか確認しておく必要があります。
往復に時間がかかる病院でもかまいませんが、経過をみるために通院するので、あまりに遠いと負担になるかもしれません。
ADHDは子供も該当する場合があり、小児科か神経科になりますが、理想は”小児神経科”という小児専門の精神科がいいでしょう。
月経に関する場合は、婦人科に相談します。
男性の先生に少し抵抗がある方は、前もって婦人科窓口の人に伝えれば大丈夫ですよ。
カッとなるのを治す「考え方」
人に個性があるように、カッとなる瞬間には”ある程度の法則”があります。
そうならないためには、自分のこだわりを理解することです。
”これは気になるけど、これは気にしない”という価値観は、それぞれ違いますね。
カッとなるときはほぼ同じシチュエーションなので、それが分かれば心の準備ができます。
一番良くないのは、「自分の思い通りにならない時」にカッとなること。
相手の考えを無視した指図・命令は、人間関係に大きな亀裂を生じさせます。
相手の個性を受け入れることが、とても大事なのです。
例えば、家族なら許せても、他人だと気になってしまうことってありませんか?
それは無意識でも、家族の個性を受け入れているからです。
誰にでも、得意・不得意があります。苦手な所ばかり目を向けるのはやめましょう。
できないことは繰り返しチャレンジしてみる、それができなかったとしても苦手なことなら助け合いです。
繰り返してもできないなら、本人にとっては苦手分野。
根に持たず、「仕方ないよね!」と相手を肯定する思考にシフトしましょう。
カッとなりそうな時は「噛む」を意識
食べ物を噛む”咀嚼(そしゃく)”には、ストレスを和らげる効果があります。
噛むことにより、ストレスホルモンが抑制されるだけでなく、幸せホルモンと言われる「セロトニン」も分泌するため。
柔らかい物ばかりであまり噛まない方は、セロトニンが減って感情が不安定になりやすく、うつ症状がみられやすいのです。
- 柑橘系などの果物:ビタミンやミネラル類が豊富で、疲労回復&リラックス効果を生む。
- アーモンドなどのナッツ類:脳の働きを助けるビタミンB群が、ストレスを緩和。
- ガム:カロリーが少なく、10分以上噛み続けられる。
このような、手軽に口にできる食べ物をストックしておきます。
果物をむくのが大変なら、常備しやすいドライフルーツでもOKです。
美味しいものは気分を上げますし、噛むことで気を紛らわすことができますよ。
あくまで目的は、噛む・不足した栄養を摂ることで、暴飲暴食は胃や腸に負担をかけるので避けましょう。
カッとなる対処法のまとめ
自分の気持ちがいっぱいいっぱいだと、怒りに直結しやすいです。
悩みを抱え込まず、どんどん周りを頼ってくださいね。
余裕が生まれることで視野が広がり、カッとなることは減っていくでしょう。
リラックスする方法も試しながら、心の平穏を保てるよう願っています。