ビジネスホテルでの清掃員をやっていると、いつか訪れるのが嘔吐物の処理です。
私は数年働いていますが、そのまま残していくお客様は珍しくありません。
今回はホテルでの嘔吐物について、清掃員の対応をご紹介します。

入室してから気が付くパターンも…。
弁償代が請求される条件って?
弁償するかしないかは、正直ホテルごとに異なります。
ただ、以下のような傾向があります。
- お風呂やトイレなど、ユニットバスは請求の可能性が低い。
- ベッドやテレビなどを汚した場合は、請求の可能性が高い。
嘔吐物が残っていても、水回りであれば清掃員の範囲内です。
詰まりやにおいの問題がありますが、”通常清掃”の所がほとんど。
しかし、掃除でどうにもならない部分は別になります。
電子機器やベッド本体を汚すと、備品の処分・部屋が売り止めになるかもしれません。
業者を呼んだり掃除でどうにもならなかったりするなら、心の準備をしておきましょう。
連泊で複数回嘔吐したり、宿泊の度に嘔吐するなど、体調・飲酒量の管理が難しい場合は声がかかるケースもある。
嘔吐物の掃除前に清掃員がすること
嘔吐の連絡をせず、チェックアウトする人は多いです。
客室でひどい汚れを見つけたら、手を付けずフロントに連絡・相談してください。
汚した程度によっては、写真を撮るなどして上司が話し合いをします。

次回の利用が厳しい、と判断されることもありますよ!
嘔吐部屋の清掃前に準備するもの
嘔吐の程度により、道具類が必要です。
各フロアに在庫置き場がありますが、狭いため置ける備品が限られています(メイン倉庫は1階になりがち)。
移動と手間を減らすために、前もって準備するのがおすすめです。
普段持ち歩いている道具を除くと、ラバーカップ・ワイヤーブラシ・パイプユニッシュになります。
これらの使い道は、後ほど詳しくご説明しますね。
▼客室清掃員が普段使う掃除道具はこちら。
また、スポンジが汚れた時のために、替えのスポンジを持つと◎。
客室の嘔吐物の清掃方法
嘔吐物は、目にするとインパクトのある事例です。
でも仕事なので避けることはできず、早々に片付けるしかありません。
ここでは、2つのパターン別にご説明していきます。
ユニットバスの場合
ユニットバスなら、掃除の大変さは軽い方でしょう。
最初にゴム手袋をつけて、換気扇を強にします。
嘔吐物をトイレットペーパーで取り、トイレに流してください。
こまめに流さないと詰まる可能性があり、その時はラバーカップ(トイレの詰まりを直す道具)のご準備を。
流し終わったら、熱湯のシャワーでユニットバス内をしっかりすすぎます。
- お風呂洗剤をまく。
- 専用のスポンジで、アメニティトレイやシャンプーボトル類まで洗う。
- トイレや床など、嘔吐物が付着していたところはブラシでこすり落とす。
- 排水溝に残っていないか確認する。
- 熱湯シャワーで泡を流しながら、洗い残しがないか確認する。
- 別の部屋の清掃に移り、ユニットバス内を乾燥させる。
シャワーカーテンに直接付いていたらその場で漂白しますが、交換した方が早いです。
以下の記事をご参考になさってください。
▼水回りの清掃方法はこちら。
洗面台やバスタブの排水溝から嘔吐物が流れた時は、念のためパイプユニッシュを使います。
においが気になる時は、最後に業務用の消臭器を使うといいでしょう。

消臭器は香水や食べ物のにおいも消せるので、使い道がありますよ!
洗面台で嘔吐物を流さない
洗面台に嘔吐物を放置する人がいますが、そのまま全て流すのはNGです。
ホテルの排水溝は詰まりやすく、かえって掃除に時間がかかります。
嘔吐物をトイレットペーパーで取り、トイレに流してください。
ゴミ受けが外されていたら詰まりの可能性大
洗面台にはゴミ受けが付いており、詰まり・アクセサリーなどを落とすリスクを下げてくれます。
しかし、お客様の中には、水の流れが悪いからと外す人がいるのです。
そこで吐いてしまうと、せき止めるものがないので詰まる傾向が高くなります。

嘔吐物を片付けつつ、ゴミ受けの有無も要チェックです!
外されたゴミ受けは、ほとんどが蛇口の横といった分かりやすい場所に置いてありますよ。
室内(ベッドやテレビがある所)の場合
こちらは、水で流せないので手間がかかります。
ゴミ手袋をはめ、窓を開けて換気(虫の侵入がなければ)です。
次にゴミ袋とトイレットペーパーを持ち、嘔吐物を拭き取っていきます。
大体落とせたら、マイペットとウエスで拭き上げてください。
汚れたウエスは処分だと思いますが、フロントに捨てていいかの確認をお忘れなく。
拭き上げきれない汚れ・カーペットやベッドなど汚れを吸収するものは、交換(またはクリーニング)になります。
シーツ類も処分の可能性が高いので、フロントに相談しましょう。
捨てるリネン用に、不燃ごみ袋や大きなゴミ袋を数枚用意する。
電化製品は、掃除した後に問題なく使えるか動作確認をします。

ドアノブや電気のスイッチへの付着もご確認を!
早く仕上げるコツ:嘔吐の部屋を先に片付ける
指示書に書いてあれば一番最初に、入室後に気が付いたらその時点で、嘔吐物の片付けに入ります。
後回しにせずすぐやるのが、早く仕上げるコツです。
普段の清掃通り、汚れものや備品のセッティングまででOK。
嘔吐物が片付けば、後はいつも通りのルーティーンに戻れます。
消臭器を使う場合はしばらく部屋に入れませんが、お客様のチェックインまでに終わらせやすいですよ。
▼客室清掃を効率よく仕上げる方法はこちら。
1回経験すると段取りが分かるので、2回目からタイムロスは少なくなります。
ただ、精神的に負担がかかることもあり、気分が悪くなったらフロントに連絡して休憩してくださいね。
詰まっていたらワイヤーブラシを試す

ワイヤーブラシは、排水溝の詰まりを解消する道具です。
嘔吐物を片付けた後、排水溝からブラシを差し込んでください。
何度も奥に押し込むと、詰まりを悪化させたり配管を傷つけたりするのでご注意を。
試してみて効果が無ければ、専門業者に依頼するしかありません。
まとめ:ビジネスホテルでの嘔吐は速やかな対処が必要
忘年会のシーズンに最も増加する、ビジネスホテルでの嘔吐問題。
放置せず、なるべく早めに片付けるのが理想です。
慣れないうちは、先輩の清掃員に協力を頼みましょう。