客室清掃員は、掃除が終わってから行う仕事があります。
それが”インスペ”で、お客様にご迷惑が掛からないために行うのです。
今回はそのインスぺについて、チェックリストをもとに詳しく解説します。

新人のうちに教えられることですね!
客室清掃員のインスペとは?
インスペとは、客室清掃員の専門用語のひとつ「インスペクション(inspection)」の略です。
別名で、チェッカーとも呼ばれています。
インスペクションを直訳すると、”調査・検査”などの意味になります。
別の職種でも使われる用語で、問題点を改善するために用いられますね。
つまり、自分の清掃部屋を他の清掃員にチェックしてもらうということです。
- 清掃が終わったら、自分の指示書を指定の場所に置く。
- 自分より早く清掃が終わった人の、指示書とマスターキーを持つ。
- 指示書だけをフロントに渡し、在室チェックしてもらう。
- 指示書を返してもらったら、入室できる部屋を回る。
- 手直しする部分があれば直し、最後に清掃担当者に伝える。
3については、ルームキーで在室チェックできるホテルに限られます。
ネットで管理し、ルームキーが刺さっていれば在室かどうかが判断できるからです。
ただ、フロントが「入室できる」と判断しても、まれにお客様がいらっしゃることあります。
連泊なら、慎重にノック・入室しましょう。
新人のインスペはミスが起きやすいので、細かくチェックする。
インスペのチェックリストの内容
実際のところ、インスペの「チェックリスト用紙」は無い所が多いです。
リストは頭の中に入れておくので、忘れそうだったらメモしても構いませんよ。
では、具体的なチェック項目を10個ご紹介します。
1.ホコリが積もっていないか
ベッドメイキングや掃除機掛けを行うと、ホコリはあっという間に積もります。
ウエスでもホコリは取れますが、ハンディモップの方が効果的。
物がいっぱいでも、撫でるように掃えばキレイになりますよ。
▼客室清掃員の持ち物はこちら。
特に、黒い物にホコリが付くと目立ちます。

その場合は、ぬれたウエスで一方向から拭き上げるのがおすすめです!
2.水気が残っていないか
水滴は、ユニットバス・デスク・ヘッドボード(ベッドの頭の部分)に残りやすいです。
また寒い時期や、お客様がユニットバスのドアを開けたままシャワーを浴びた時などは、結露で窓もぬれますね。
放置すると水あかが残り、汚く見えてしまいます。
インスペ中にウエスは複数枚持ち、ぬれたら取り換えるか、場所ごとに使い分けてください。
▼水回り清掃のコツはこちら。
3.髪の毛が落ちていないか
毛はユニットバスやベッドの上に残りやすく、衛生面でクレームが起きやすいです。
浴槽内と、洗面台の排水溝チェックはお忘れなく。
シーツなどのリネン類に残っていたら、ウエスかハンディモップで掃いましょう。

手で掃うより、簡単に取り除けますよ!
4.ゴミが残っていないか
お客様の私物が多かったり、忙しくて焦っていたりするとゴミの捨て忘れが起きやすいです。
それに、ゴミ箱は部屋の隅やデスクの下など、目立たない場所にあって見逃してしまうんですね。
もしくは、錠剤の容器・綿棒といった細かいゴミだけ捨ててあると、確認不十分で見落とすことも。
何も入っていないように見えて、飲み物の中身がこぼれていることがある。
ゴミ箱は中が見やすい位置まで動かし、底まで確認してください。
5.指紋がついていないか
手あかや指紋が残りやすいのは、鏡・窓・蛇口など磨けば光る部分です。

手が触れやすい、電気スイッチやデスク上も当てはまります!
この場合、普通のウエスよりマイクロファイバークロスが落としやすいですね。
少しぬれている方が落ちるので、水拭き用と拭き上げ用の2枚を持つといいでしょう。
▼汚れごとの落とす方法はこちら。
6.備品の補充忘れが無いか
備品は、元から客室に置かれている物と、倉庫から持ち出して補充する物に分かれます。
- 客室に置きっぱなし:電気ポット・電気スタンド・ハンガーなど。
- 倉庫にある物:アメニティ・シャンプー類の中身・パジャマなど。
何部屋もこなすとやったつもりになり、「うっかり」があるので補充を。
また、部屋にあるはずのものが見当たらない時があります。
次のお客様に影響するため、在庫があるかを確認して補充してください。
在庫が無ければ、納品まで特定の備品がないことを共有します。
フロントへの重複連絡を避けるため、納品待ちのリストがあると便利。
7.室内の破損や不具合が無いか
インスペ中に気が付いた問題は、フロントへ連絡して対処してもらいます。
時間に追われる中で気が付きにくい所を、冷静に発見できるのがインスペの良さです。
以下は、私がインスペで見つけたことのある一例になります。
- アメニティトレーが割れていた。
- 電気ポットのスイッチが動かなかった。
- 受話器を持ち上げたら部品が飛び出てきた。
- カードキーを入れるパーツごと、壁から抜けた。
- エレベーターの案内看板が外れて落ちていた。
エレベーターの案内看板は室外ですが、場所に限らず速やかに対処しましょう。
難しいのは、今起きたのか前からそうなのか判断しづらい点です。
分からないことは、先輩の清掃員やフロントに相談してみてください。
8.リネン類に汚れがないか
意外なことに、クリーニングに出されたはずのものが汚れている時があります。

元からついている汚れは、再度クリーニングに出してもほぼ落ちません!
タオル類は、リネン庫にある別のものと交換するだけでOK。
一方のシーツ・掛布団カバーの汚れは、大変ですがベッドメイキングのやり直しです。
すぐ修正できないので、インスペ者ではなく、その部屋を清掃した人にやってもらう方が最適でしょう。
9.忘れ物がないか
大体は清掃中に見つかる忘れ物ですが、意外にもインスペで見つかることがあります。
- 冷蔵庫の中。
- ベッドやデスクの下。
- クローゼットの上段。
- ドアを開けた時の裏側。
ゴミが置き去りになっていたケースがあり、放置はクレームに繋がります。
また、お客様だけでなく、清掃員の道具の置き忘れにも注意。
洗剤やウエスが客室にあったら、回収してくださいね。
10.虫が入り込んでいないか
換気のために客室の窓を開けると、季節や立地によっては虫が入り込んできます。

コバエやクモ、ハチなど…虫が苦手な人は厳しい部分と思われます!
見つけたら、退治するか窓から逃がしてください。
ハチだったら危険なので、殺虫剤またはヘッドを外した掃除機で吸うのが◎。
コバエは、数が多いと一旦売り止めになることがあります。
カーテンの裏や、天井のライト付近をしっかり確認しましょう。
天井付近のクモの巣は取り除く
クモの巣は天井の隅で見つかることが多く、清潔感を大きく損ねます。
柄の長さが調節できる、ホコリ取りモップが取りやすいです。
掃除中やインスペでは、つい自分の目線またはその下を見がちなので、天井も要チェックを。
まとめ:インスペのチェックリストを清掃に反映させよう
インスペのチェックリストは、清掃の質を上げることに直結します。
余裕があれば、自分で自分のインスペを行うのが一番です。
清掃忘れが防げるので、このリストをもとにやってみてくださいね。